釣りに出かけよう!
 さあ、道具が揃いました。明日は日曜日、天気は良好。初めてのウキフカセ釣りに行きましょう。

写真は伊豆大島の磯。

家での準備
 釣り場では風が邪魔をしたり、足場が悪かったりとちょっとした作業が難を要すこともしばしば。家でできる限りの準備はしていきたいものです。
 磯釣り用のライフジャケットはポケットがたくさん付いており、そのまま道具入れにもなります。ポケットには、ハリス、ウキ止め糸、小物入れ、(ハリ、サルカン、シモリ玉)、ウキを入れておきます。ハサミ(先端を収納できるもの)は、ピンオンリールに付けておくと便利。必要な時は、ハサミを引っ張れば紐がリールから出され、手を離すと自動的にリールが巻いてくれます。
 竿ケースの中には竿、ヒシャク、タモの柄をいれます。
 バッカンには、マゼラー、玉網、水汲みバケツ、レインコート、帽子、サングラス、予備の防寒具など入れます。車で釣り場まで移動する場合、あらかじめコマセを作ってバッカンに入れておくような時は、これらを収納するバッグなど必要です。
 リールにはあらかじめ道糸を巻いておきます。道糸は、ぎりぎりいっぱい巻くのが基本。道糸が少ないと、仕掛けの遠投性が悪くなります。道糸が足りない場合は、内側に古い道糸を巻いておきましょう。釣り場での作業を減らすため、できればウキ止め糸も巻きつけておきましょう。
 釣り前日は、天気予報のチェックはかかせません。風が強く、波が高い日は絶対に釣りに行ってはいけません。釣り場でも、できればスマホなどで最新の天気予報をチェックしましょう。

小物入れにもなるライフジャケット。自分なりに収納場所を工夫しよう。小物入れにもなるライフジャケット。自分なりに収納場所を工夫しよう。

釣り場での準備
 釣り場に到着です!釣り場についてからは、順序良くテキパキと準備しましょう。少しでも釣る時間を長くして、大物と出会う確率を上げましょう!
 釣り座選びは慎重に。天気の良い日に濡れている磯は、波をかぶっている証拠。しばらく狙いの釣り座を眺めて、潮がかぶらないことを確認しましょう。
 釣り座を決めたら、まずは玉網を組み立てます。誤って道具を海に落とした場合、玉網を組み立てていないと拾えないからです。
 次にコマセを作ります。コマセは、オキアミブロック3kgに配合餌一袋(オカラ、麦など粉にしたもの)を混ぜ込んだものを使うのが一般的です。オキアミのみでも釣れますが、配合餌を加えることで遠投性を良くしたり、沈降速度を調節したりすることができます。海水を加えてペースト状にします。加える海水の量は、配合餌の袋に書いてあります。コマセはにおいが強く、持ち帰ることはできませんので、必ず使い切る量だけ持って行くようにしましょう。
 仕掛けを作ります。ウキ止め糸、シモリ玉、ウキ、クッションゴムの順で道糸にセットし、直結か、もしくはサルカンで道糸とハリスを結びます。ハリスの先端には釣り針を結び、必要に応じてガン玉を打ちます。

一見釣り座に出来そうな磯でも、このように潮をかぶることも。釣り座選びは慎重にいこう。

ガン玉の打ち方
 ガン玉は、その重さでハリスを引き伸ばすというよりは、ハリスを整えると表現したほうが適切かもしれません。あまりに重いガン玉を仕掛けの真ん中に打ってしまうと、仕掛けがくの字になってしまい、またハリに近すぎると魚に警戒されてしまいます。仕掛けはなるべく自然に近い状態にし、しかもハリスを一直線に・・・ベテランでも悩むところですので、ぜひご自身の努力で身につけてください。

潮の流れに対してガン玉の打ち方が適正だと、ウキから針までハリスがまっすぐ伸びる。ガン玉が重すぎたり、軽すぎたりすると、ハリスが折れ曲がったり、針が浮きあがったりしてしまう。

狙うポイント
 釣りは、タナが浅い部分以外は、水の中の様子を目で確認することができません。ですので、その日の天候や経験で水の中の様子を予測するしかありません。(そこが釣りの面白いところともいえます。)一般的に良いポイントとは、沖のシモリ周りや潮目、などですが・・・魚がどこにいるのか?ずばりそれは、コマセの流れるその先です!!以前、とある離島の堤防でメジナ狙いでウキフカセ釣りをしていたところ、いくらコマセを撒いても魚が見えません。「今日ははずれかな~~」と思って、なんとなくコマセの流れる先のほうに散歩に行きました。底のほうに目をこらすと、なんの変哲もない場所になんと中・大型メジナの大群です。コマセを撒いているその場所には、人がいると思って警戒して近づかなかったのでしょう。その後、いいサイズのメジナをゲットしたのですが、それ以上に成果の大きい経験をさせてもらいました。有望なポイントにコマセが流れるよう、潮を読んでコマセを打つ場所を工夫するようにしましょう。

足元にできたサラシ。サラシの下は釣り場から見えないため、魚の警戒心が弱まる。

沖の沈み根は魚の巣。はずせないポイントだ。

沖の潮目に集まった浮遊物。潮目は潮の流れがぶつかりあう場所なので、コマセもたまりやすい。

仕掛けの振り込み
 仕掛けの振り込み方は、風の状況や釣り座の高さ、狙うポイントで決まってきますが、基本を押さえておけば決して難しいことはありません。
アンダースロー
 もっとも簡単で、しかも命中率のよい振り込み方です。ウキの質量を使って振り子のように仕掛けを振り込みます。着水もソフトで、付け餌が外れる心配も少なくて済みます。ポイントが遠い場合は使えませんが、ぜひ最初にマスターしていただきたい振り込み方です。
オーバースロー 
 剣道の面打ちのように、頭上から一直線に振り下ろす振り込み方です。飛距離がほしい時に使います。飛距離がでる反面、着水の衝撃も大きく、付け餌が外れることもあります。また、後方に十分なスペースがないとできない振り込み方です。
タスキ振り
 アンダースローとオーバースローのちょうど中間的な振り込み方です。ある程度飛距離も出て、狭いスペースでもコンパクトに振り込むことができます。肩口から斜めに振り込むので、やや命中率に難がありといえますが、慣れればどんな状況にも対応できる、ばんのうな 振り込み方といえます。

タナの設定
 水深のことを、釣りでは「タナ」と呼びます。また、長さ・距離の呼び方も独特です。1ヒロ(ひとひろ)とは、成人が手を広げた指先から指先までの距離で、約1.5mです。竿一本(さおいっぽん)とは、一般的な磯竿の長さ約5.3mです。ですので、「今日はどのタナで釣れていますか?」「竿一本と1ヒロだね」・・・のような会話が釣り場では聞こえてきます。
 さて、釣り場についていきなりその日の釣れるタナがわかっていればよいのですが、たいていの場合は手探りで探していくことになります。コマセを撒いて水中を見ても魚が見えない場合は、2ヒロより深いタナに魚がいますので、とりあえず2ヒロから釣り始めましょう。しばらく仕掛けを流したり、遠投しても反応がない場合は、徐々にウキ止め糸をずらして、タナを深くしていきます。付け餌がとられたり、かじられたりしたらそのタナに魚がいる証拠。付け餌の様子やウキの動きをよく観察して、魚を追い詰めていきましょう。

写真のように浅ダナに魚が群れている場合は、2ヒロより浅いタナで魚が釣れる。ハリスを短くして固定仕掛けで釣ろう。コマセを撒いても魚の反応がない場合は、2ヒロから徐々にタナを深くして魚を追い詰めていこう。

仕掛けを流す
 魚は、コマセの流れるその先にいます。つまり、コマセを撒いた場所に仕掛けを投入してコマセと一緒に流せば、魚が釣れる場所ですが・・・そう簡単には釣れないのが釣りの面白いところ。コマセの流れる道筋から仕掛けがずれてしまいます。いったいどうしてでしょうか。その答えは、道糸にあります。
 風と潮の向きは、同じとは限りません。道糸は、たいていの場合は水面下水面直下に位置します。つまり、風の影響を受けやすいのです。また、沖の潮と磯際の潮も同じとは限りません。この潮の影響でも仕掛けはコマセの流れる道筋からずれてしまいます。「ではコマセの流れる方向に遠投しては?」と思われた方も多いと思いますが、足元を流れるコマセの方向が、沖まで同じとは限らないのです。
 某社製の道糸3号の太さは直径0.285mm。たとえば、50m道糸を出したとすると、道糸全体の表面積は、
0.285mm×π×50000mm(50m)=44766.38mm2
一辺20cmの正方形とだいたい同じ面積です。道糸が太ければ太いほど、長ければ長いほどこの面積は大きくなります。道糸の受ける風や潮の影響の大きさがお分かりいただけたと思います。

50m流した道糸の表面積は、小さめのハンカチほど(裏面は含まない)。かなりの面積だ。

道糸をコントロールしよう
 道糸がある限り、仕掛けとコマセを完全に同調させることは不可能です。しかしながら、付け餌は点、コマセは煙幕のように広範囲に広がります。釣り人の努力次第で、コマセの煙幕の中に仕掛けを潜り込ませることは可能なのです。
 まず真っ先に思いつく工夫は、風の影響を避けることです。特に風の強い日は、竿先を下に向け、穂先が海面すれすれになるようにしましょう。水面に着水した道糸は、水中にゆっくりゆっくり沈みます。ナイロン製の道糸の場合、特別な加工がしていなければ、その比重は1.1から1.2。比重約1.02の海水よりも若干比重が大きいのです。
 前述のように、道糸は長ければ長いほど表面積が大きくなり、風や潮の影響を受けます。ウキを動かさない程度になるべく道糸を張り、ウキまで一直線になるようにしましょう。道糸が風などの影響で弧を描いたら(道糸が膨らむと言います)、一度道糸を水面から持ち上げて、まっすぐに修正してあげるのも有効です。

「合わせ」と「やりとり」
 さあ努力の末、ついにウキが水中に引き込まれました!この瞬間が、ウキフカセ釣りのもっとも興奮するシーンといってよいのではないでしょうか。
 魚が付け餌をくわえた状態では、まだハリは魚の口に掛っていません。餌をくわえた魚がハリに違和感を感じて吐き出すこともあるので、竿を軽く立ててハリを魚の口に引っ掛けます。(合わせを入れるといいます)。あまり強烈に合わせを入れると、逆にハリが外れてしまうばかりか、錘やウキが顔に当たってけがをする恐れもあります。あくまでも軽く、落ち着いて合わせを入れましょう。実は、道糸をウキまで一直線になるようにコントロールしていた努力は、ここでも生かされます。道糸が膨らんでいると、合わせが入れにくくなるからです。
 やりとりは、竿の弾力を使って行います。手元の竿の角度を60~90°くらいが竿の弾力を正しく使える角度といわれています。沖に魚がいるときは90°、足元まで寄せたときは60°くらいと考えていただいて差し支えないでしょう。
 魚が元気で、竿が大きくしなっているときは、竿の角度を保ったまま耐えます。魚が弱り、竿のしなりがなくなったら、その分道糸をリールで巻きます。このやりとりの仕方をポンピングといいます。エギングなどで、アオリイカのようにやわらかい魚とやりとりする場合は、ポンピングだとハリ外れの原因になりますが、たいていの魚はポンピングで確実に足元まで寄せることができます。

タモ入れ
 魚を足元まで寄せ、水面に浮かせたら、いよいよ玉網ですくいます。タモ入れといいます。小さい魚ならそのまま竿を立ててキャッチしてもよいのですが、大きい魚だと竿を折られてしまいます。どのくらいの魚から玉網を使うか、それは竿の号数にもよりますが、30cmくらいの魚なら使ったほうがよいと思います。私も目測を誤り、何度か竿を折っていますので、迷ったら玉網を使うくらいでよいのではないでしょうか。
 玉網は、魚の頭側から入れます。魚はうまくバックできないからです。上手に魚が入ったら、玉の柄を折らないよう、垂直に引き上げます。実はこのタモ入れ、一人で行う場合はかなり危険な作業です。狙いの大物を仕留めた興奮もあり、また竿を股に挟んで引き上げるため、バランスを崩して落水する方が多いのです。競技など、人が手伝えない場合はともかくとして、できる限り同行者にお願いするほうが無難な作業といえます。

釣り場でのマナー
 どんなことにもマナーがあります。マナーを守って楽しい釣り旅行にしましょう!
・ゴミを捨てない。拾って帰る。
 きれいな釣り場で釣りができるように、ゴミは持ち帰りましょう。
・コマセを掃除する。
 コマセが磯や堤防に残っていると、悪臭の原因になります。海水で流してから帰るようにしましょう。
・狭い釣り座に割り込まない。
 いいポイントがあるからといって割り込んで釣り座を構えないようにしましょう。他人にけがをさせたり、トラブルの原因になります。
・常識ある態度で人に接する。
 何度も釣行をかさねベテランになると、人に教えたくなるもの。そんなときも、真摯な態度で接しましょう。私が釣りを覚えたてのとき、何度か居合わせたベテランの釣り師の方にお教えいただいたのですが、見ていて恥ずかしいくらいの態度で接してくる方もいました。せっかく釣りがうまくなっても、これでは人として失格です。